第8段 努力を信じる

右を見ても左を見ても、自粛、自粛、自粛。東西南北どちらを向いても、自粛の文字が溢れています。新型コロナ感染防止のため仕方ないことですが、不安、イライラ、自暴自棄、憂鬱、よくないマイナスの感情が日本中を覆い尽くそうとしています。
 そんな日本に、二人のアスリートが、明るく希望に満ちたニュースをもたらしてくれました。プロゴルファーの松山英樹と水泳女子の池江璃花子の活躍です。
 松山英樹がアメリカからもたらしたニュースは、日本のゴルフ界を歓喜の渦に巻き込みました。マスターズ・トーナメント優勝です。日本ゴルフ界の悲願達成です。ゴルフ関係者は狂喜乱舞したことでしょう。
 マスターズはメジャーと呼ばれる4大大会(マスターズ以外には、全米プロ、全米オープン、全英オープン)の一つですが、日本のゴルファーが初めてメジャーに挑戦したのは、宮本留吉が全英オープンに参加した1932年のことだそうです。結果は予選落ち。メジャーでの初の予選突破は3年後、1935年中村兼吉が全米オープンで成し遂げました。二人とも日本のゴルフ界の黎明期の人物なので、私は全く知りません。私が知っているゴルファーで言えば、青木功が1980年全米オープンで2位、中嶋常幸が1988年全米プロで3位、丸山茂樹が2002年全英オープンで5位になっています。初出場から89年、間違いなくゴルフ界の偉業です。
 ゴルフは数百メートル先にある直径108ミリの小さな穴に、直径およそ42ミリの小さなボールを、何打で入れるかを争うスポーツです。私はゴルフをやったことがないので、あくまで想像ですが、1打目2打目は、ホールに近づけるために、遠くに飛ばすことが目的なので、あまり緊張しないかもしれません。しかしグリーンにのってからの1打は、ホールに入れるための1打になるので、緊張の度合いがかなり上がると思います。残った距離にもよりますが、打つコースはこれでよいのか、打ち出す力はどれぐらいか、いろいろの事が頭の中をグルグル駆け巡ります。クラブを握り手は冷や汗でびしょり、心臓は口から出るほど高鳴るかもしれません。緊張の極致です。
 そんな時に自分を支えてくれるのは、これまでの練習です。何百回、何千回と打ち込んだトレーニングだけです。松山英樹は自分の努力を信じて4日間戦い抜き、偉業を達成しました。
 もう一人のアスリート池江璃花子の泳ぎには、日本中が涙したと思います。日本選手権女子100メートルバタフライ決勝。50メートルのターンを終えしばらくすると、先頭争いの中から、白いキャップがほんの少しだけ前にでました。池江璃花子です。「頑張れ。負けるな。あと少し。」とテレビの画面に向かって応援している自分がいました。そして頭一つ抜いて1位優勝。池江選手の喜ぶ姿に、目頭が熱くなった人は、私だけではないはずです。
 2019年2月。大会に出れば必ず優勝という絶頂期に、彼女は白血病に罹ってしまいました。絶望のどん底です。東京オリンピックでの活躍が期待されていたので、どれだけ本人は悔しかったことか、想像にたえません。
 闘病生活のはじまりです。抗がん剤の副作用で髪は抜け、嘔吐を繰り返し、10キロ以上も体重が落ちたそうです。しかし2014年のパリ五輪出場を心の支えに、辛く苦しい治療に日々耐えました。そして約10ヵ月後、病魔との闘いを制し無事退院することができました。
 練習の再開です。最初はプールで歩くことから始めたそうです。水泳の第1人者が水中歩行です。状況に応じて、今やれることから手を抜かず始めました。1歩1歩地道に進んでいきます。なかなか出来る事ではありません。本人もインタビューで涙ながらに答えていました。「すごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなと思った。」

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