第12段 米軍のアフガン撤退

問われる主体的意思

 それはまるで映画のワンシーンのようでした。テレビ画面に映っている映像は、2機の旅客機が超高層ビルに衝突し、ビルが崩れ落ちるものでした。Unbelievable.
あってはならない信じられない光景が、テレビ画面の中で繰り広げられていました。
 2001年9月11日。イスラム教過激派のテロ組織アルカイダによって、ハイジャックされた旅客機2機が、ニューヨークの世界貿易センター北棟と南棟に突入しました。両棟は大勢の人を巻き込みながら倒壊。その間およそ3時間。阿鼻叫喚の地獄の世界がそこに現れました。
 また同じころ、バージニア州アーリントンのアメリカ国防総省(ペンタゴン)にも、旅客機が1機突入しました。ペンタゴンは、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4軍を束ねるアメリカ国防の本庁です。この行為は、テロ組織アルカイダのアメリカに対する宣戦布告に等しい行為です。
 アメリカ同時多発テロ(9・11事件)。人的被害は死者3000人以上、負傷者も35000人以上と言われています。普段どおりの生活をしていた大勢の一般の人々を、一瞬のうちに地獄に落とした卑劣極まりない行為です。如何なる言い訳も通じない、悪魔の行為です。
 アメリカは報復に立ち上がりました。首謀者を捕まえ報いを与えるために。首謀者はビン・ラディン。当時はアフガニスタンを支配していた、イスラム原理主義者集団のタリバンに、ビン・ラディンは保護されていました。アメリカは引渡しを要求したが、タリバン側は拒否しました。業を煮やしたアメリカはついに実力行使に出ました。20年に及ぶアフガン戦争の始まりです。
 アフガニスタンってどこ?どんな国?アジアの東の外れに住んでいる私たち日本人にとってアフガニスタンは所在も国情もよく知らない国です。そこでちょっと調べてみました。
 アフガニスタンの地は、紀元前の時代から東西を繋ぐ交通の要衝地でした。シルクロードが通り、各地域の物産や文化が行き来する中継地でした。人の往来も激しく、かなり繁栄していたと想像できます。
 ところがアフガニスタンにとって、この通商の要衝地ということが、あだになってしまいました。周囲の強国から何時も狙われ、その支配を受けることになってしまいました。
 有名の国を挙げれば次になります。アケメネス朝ペルシア(前550~前330)、アレクサンドロス帝国(前334~前323)、セレウコス朝シリア(前312~前64)、ササン朝ペルシア(226~651)、モンゴル帝国(1206~14世紀後半)などです。近現代に入ると、国内勢力がロシア(ソ連)側とイギリス側に分かれて、長い内線状態が続きました。残念なことに、長い歴史の中、アフガニスタンには自国民による強い国家が生まれませんでした。
 タリバンを追放し、ビン・ラディンを殺害したアメリカは、アフガニスタンの民主化に着手します。テロの原因は貧困。民主化政策によって治安が戻り、人権が回復し、経済が良くなれば、国は豊かになり、貧困もなくなります。アメリカはそこでアフガニスタンに1兆ドル(約110兆円)以上のお金を支援し、30万人のアフガン軍を訓練し、装備を整えました。しかし20年経った今、またタリバンが戻ってしまい、元に戻ってしまいました。
 何故?政権上層部の腐敗もあったかもしれません。長い支配の歴史から、強い者に従うという気持ちのほうが、自分たちで何とかしようという気持ちより、強かったのかも知れません。学校生活で言えば、強い先生、怖い先生の前では素直にして言うことは聞くが、先生がいなくなると・・・。
 米軍が撤退した今からが、本当の民主化の戦いの始まりかも知れません。

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